PS3,Xbox360,Wiiの戦略の違い

PS3,Xbox360,Wiiの提供する価値の違いについて、ディスカッションを行いました。


 初めに、ゲーム機が提供している価値は何であるかを探るために、エーベル(Abel)(1980)の事業領域の3区分{顧客、顧客への提供価値(顧客機能)、技術}を用いて視点を整理しました。その結果、顧客、顧客機能、技術の3区分全てにおいて、異なる価値を、それぞれのゲーム機が提供しているという意見で一致しました。ですので、次に、3区分ごとにブレーンストーミングを行い、ゲーム機がどのような価値を提供しているのかの指標となる、評価軸を網羅的に挙げることにしました。


 20程度評価軸を挙げた後、各自の経験的基準を用い、KJ法により、重要な評価軸の選出を行いました。その後、横軸に選出した評価軸を並べ、縦軸にゲーム機ごとの相対評価を検討しました。この手法はブルー・オーシャン戦略(2006年 ランダムハウス講談社)で述べられている、戦略キャンパスと呼ばれる手法です。その結果は↓です。

↑図の横線は、評価軸上での相対評価を線で結んだもので、価値曲線と呼び、戦略の特徴を示しています。図を眺めると、PS3Xbox360は、価値曲線が価格以外で大差は無く、お互いを強く意識して戦略を立案することで独自性が失われていると予想しました。ディスカッションでは簡単な方向性の確認にとどまりました。折角なので、ブルー・オーシャン戦略の基本的な問いを行いたいとおもいます。

問い:業界標準の製品 (PS2) に対して
 1.増やすべき要素は何か
 2.付け加えるべき要素は何か
 3.減らすべき要素は何か (過剰な価値を提供していないだろうか)
 4.取り除くべき要素は何か (無意味な機能を提供していないだろうか)

この問いを意識して、各製品の方向性を言葉でまとめると
WiiPS2に比べてメディア再生機能は取り除き、映像リアリティは低下させました。その一方で、値段を据え置き、ソフトの充実や操作簡便性を向上さたことになります。
Xboxはメディア再生機能と映像リアリティは向上させたものの、ソフトの充実が十分でない状況です。
PS3PS2に対して価格面以外では優れています。この状況は価格と共に品質を向上させたということなので、必要以上の価値を提供している要素があるかもしれません。


更に議論を深めていくためには、各評価軸を顧客はどの程度重視しているのか、また、十分に満足している状況なのかを精査する必要があります。その上で、上記の4つの問いを踏まえ、どの方向に製品開発をするのかを検討していくことが出来ると考えます。