「クリーンディーゼルはエコカーの主流になるか」(発表者:木村)
基本情報
背景
最近、低燃費で低CO2排出のエコカーが注目されている。世界的にCO2削減が求められる中で、日本政府も減税や補助金により買い替えを促している。エコカーとして目立つところでは、電気自動車、ハイブリッド車が挙げられるが、一方、市販されているエコカーの一つにクリーンディーゼル車がある。ディーゼル車というと日本ではイメージが悪いが、欧州では乗用車の50%はディーゼル車である。日本と欧州におけるクリーンディーゼル車の普及の違いに興味を持ち、日本でもクリーンディーゼル車がエコカーの主流となるかを考えてみた。
目的
2030年の日本において、クリーンディーゼル車がエコカーの主流になれるかを考える。
内容
1:ガソリン車とディーゼル車の普及の現状
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの原理の違いを紹介し、原理的にディーゼルエンジンの方が同排気量での燃費がよく、CO2排出が少ないこと、反面、排ガスが汚く、騒音が出やすいことを説明した。その後、技術的な進歩により、排ガス・騒音問題が解決され、欧州では本来持つメリットである低燃費が注目されていることを紹介した。しかし、日本では普及率は上がらず現状乗用車の0.1%であることを紹介した。
2:クリーンディーゼル普及の課題
日本政府のディーゼル普及予測が非常に低いことを示し、ディーゼル普及に対する問題点を提示した。
- 車体が大きく高コスト
- ガソリン車に対する強みも電気自動車等の同じエコカーに対しては薄れること
- 電気自動車に比べ新産業の創出につながににくいこと
そして、以上3点よりエコカーの主流となるのは困難と考えられると述べた。
3:議論
2030年の日本乗用車市場でクリーンディーゼル車がエコカーの主流になれるかを考える。
まとめ
SWOT分析を行ってディーゼルメーカーの取るべき戦略を議論した。そして、現状のディーゼル車の台数と主なクリーンディーゼル車の販売台数、2030年におけるエコカー全体の台数予想などから、2030年にエコカーの主流となるための普及台数と、現状が続いた場合のディーゼル車普及台数を仮定し、SWOT分析から考えた戦略により、そのギャップを埋められるかを議論した。結論としては、やはりクリーンディーゼルが日本市場において主流となるのは難しいのではないかとなった。
参加者からのフィードバック
・データが充実しており定量的だった。
・注目すべきところが分かりやすかった。
・初心者でも分かるようにまとまっていた。
・自分の専門の話とのつなげ方がうまかった。
・欧州の成功モデルが欲しかった。
・問題設定に魅力がなかった。途中で変更してもよかったのではないか。
・参加者への質問などの、参加者とのコミュニケーションが不足していた。
・広義、狭義の区別が分かりにくかったので、定義をしっかりしてほしかった。
など。