「BOPビジネスは日本に浸透するか」(発表者:松川)
基本情報
- 日時:2010年10月30日 13:00〜16:00
- 出席者: 佐藤、土田、西原、松川(計4名)(敬称略)
- テーマ:「BOPビジネスは日本に浸透するか」 発表者:松川
背景
学部で途上国開発などを勉強する中で、日本では途上国への関わり方がODAに偏っているように感じた。開発途上国と関わりをもつ手段の一つとして、BOPビジネスは以前から欧米で取り入れられている。日本でもBOPビジネスが取り入れられる余地はないのか、考えたいと思い今回の発表に至った。
目的
日本企業において、BOPビジネスが取り入れられる余地があるかを考える。
内容
1.BOPビジネスの定義
BOPビジネスの定義は諸説存在するが、今回は経済産業省が提示している定義をしようすることにした。すなわち、?途上国におけるBOP層が対象であること、?持続可能性があること、?社会貢献性があること、以上の3点を満たし、ビジネスとして収益できるものをBOPビジネスと定義することにした。
2.BOPビジネスの発想が生まれるまで
まず、これまでの開発途上国とのかかわり方で主流であったのは、ODAによる途上国開発事業であり、それは専ら政府が主導で行われてきた。しかし、現在はCSR意識の高まりという影響もあり、民間企業から途上国へ流れる資金は、ODAの額を凌ぐ勢いである。ただし、CSRは企業にとって本業とは言い難く、1回限りで終わってしまうものも少なくない。よって、途上国でビジネスを行うことにより、企業は利益を出しながら社会貢献を行うことができ、また新たなマーケットの獲得が期待できるようになる。これは、途上国側は自国の問題解決に対する支援の持続可能性が高まるというメリットがあり、先進国政府も民間企業の手を借りることで予算を抑えられるメリットがある。以上のような流れでBOPビジネスの発想が生まれたことを説明した。
3.海外の動き
海外の成功事例と失敗事例を紹介した。成功事例と失敗事例の特徴から、成功のポイントとしては、?途上国のニーズに合っていること、?現地密着性が確保されていること、?コストを削減することの3点に絞られるのではないかと考えた。
4.日本の現状
日本では、まだBOPビジネスという概念が浸透していないことを説明した。理由としては、企業が途上国への関心が薄いこと、政府の情報提供や企業への支援が乏しいことなどがあげられる。そんな中でもBOPビジネスに成功している日本企業を紹介し、他の企業にも浸透させられるのではないかと紹介した。
5.議論
日本企業において、BOPビジネスが取り入れられる余地があるかを考える。今回は、日本企業の代表としてトヨタ自動車、対象地域の代表としてアフリカを選び、議論を行った。また、達成する社会貢献性のゴールとして、MDGsを参考にすることとした。
まとめ
5W1Hのフレームワークを使って議論を行った。結果として、トヨタ自動車の中古車を利用し、1台の車両をシェアリースするようなビジネスモデルが考えられた。交通インフラが不十分な途上国において、車は1台所有できないにしても、複数人でリースする形なら、低価格で行えるのではないかということである。また、トヨタ自動車としても、中古車を利用することによって、コストを抑えることができ、かつ自社製品の広報にも役立つと考えられる。以上から、トヨタ自動車のような高価格な製品を扱う企業でも、途上国に進出できる余地があるとすれば、他の日本企業でもBOPビジネスを取り入れられる余地はあるのではなかという結論になった。
参加者からのフィードバック
・発表者の熱意が伝わった。
・言葉の定義が明瞭だった。
・受け答えが明快でよかった。
・議論や資料がまとまっていた。
・定量的なデータに乏しい。
・感嘆詞をしようしないほうがよい。
・専門性に乏しい。
・話すスピードやボディランゲージを取り入れたほうがよい。
など。
反省
今回が初めての発表で、かなり不安だったのですが、なんとかみなさんのご協力で形にはなったなかと思います。BOPビジネスについては、いつか自分なりにまとめてみたいと考えていたテーマのひとつだったので、今回このような機会を得られたのは幸せなことだったと思います。今後はご指摘いただいた、プレゼン技術の向上や定量的データの提示などを心がけていきたいと思います。
(文責:松川)